お名前:稲川 美由紀さん
私が呼吸法を習いたいと思った理由は、ひどい腰痛のためでした。
腰痛の原因に、精神的なストレスもあると思っていたからです。
呼吸法で心を穏やかにし、身体を緩めることで楽になるかも…。
もしかしたら…そんな気持ちで始めた呼吸法でしたが、
回数を重ねるごとにそれは確信へと変わっていきました。
腰痛のひどさのため、家で毎日できたのは
『見つめる呼吸』だけでした。
横になって行えるからです。
『見つめる呼吸』は、寝る直前まで
あれこれ悩んでいる私に体の部位を意識させてくれて、
ネガティブに落ち込む余地を許してくれません。
自然に気持ちが穏やかになり、
深い眠りを得られるようになっていきました。
呼吸法が私にとって良かったのは、
運動ができない状態でも息を深く長くすることによって
呼吸筋を大きく動かし、自然に身体の調整
(軽い筋肉トレーニング)になっていたこと。
また感情が安定して心が穏やかになったこと。
肉体的、精神的の両面からでした。
呼吸法を続けるうちに、徐々に腰痛が和らいでいき、
半年たった頃には腰の痛みをほとんど感じなくなったことに
大変感動いたしました。
また、私にはひとり娘がおります。
彼女はときどき過呼吸で倒れることがあり、
どうしてなのかなぁと、気がかりではありました。
ある朝、ものすごくストレスを抱えているように
見受けられた出勤前に、思い切って言ってみました。
「ねぇ、呼吸法を習っているんだけど…。
一緒にやってみない?」
向かい合い、10分間『数える呼吸』を一緒にしてみました。
私との呼吸の違いに「おやっ?」という顔をしています。
娘の呼吸は、非常に浅いのです。
それが、だんだんと深くなっていき、
長く息を吐こうとしていました。
静かな時間が流れた後、タイマーが鳴りました。
手を合わせ礼をして顔を上げた娘の目に、涙が浮かんでいました。
何かが彼女の琴線に触れたのだと思います。
無言のまま二人で玄関に向かい、職場に行くのを見送ります。
私には、娘の所作がいつもよりゆったりと
落ち着いているように見えました。
娘の長年の悩みである過呼吸を解決する手がかりを
得ることができ、呼吸法を知って本当によかったです。