お名前:杉山 八千代さん
そもそも私が呼吸法の講座を受けようと思ったのは、仕事のプレッシャーによる極度の緊張感とそれに伴う睡眠障害を克服するためだった。
未経験で始めたデイサービスでの介護の仕事は、始めは楽しくて仕方がなかったが、仕事を覚えていくうちに緊張することが増えた。
心や身体に障害を持った方と接する難しさや、自分のミスがその方の人生に影響を与えてしまう怖さがわかってきたのだ。それまでの仕事で培った経験と自信が根底から覆された思いだった。
良かれと思って言った一言で利用者さんを怒らせてしまったり、丁寧に対応したことでその方を疲れさせてしまったり、こちらのくしゃみに驚いて危うく転倒しそうな人がいたり。
健常者にはなんでもないことが、介護を必要としている方々には大きな影響を及ぼすことがよくある。
自分が緊張すると動きがぎこちなくなり危険度が増す。
それを見ていた先輩や看護士はさぞや不安であっただろう。そんなことを思うとまた緊張する。
この負の連鎖を断ち切るために、呼吸法を役立てようと思ったのだ。
日々習ったことを実践すると次第に効果が出始めた。
毎朝数える呼吸をすると、心をリセットされて前向きになる。
仕事中に緊張するときは弛める呼吸で対処する。
自分がリラックスできるとそれが利用者さんにも伝わるようで、その場にいる方が穏やかな表情になることにも気が付いた。
体操の合間やお帰り前の挨拶の場では弛める呼吸のお話をして、皆さんと一緒に声を出す。そんな時間も持てるようになった。
呼吸法でまた介護が楽しく感じられるようになった。とてもありがたく嬉しいことだ。
身体や心にとても良い呼吸法をマスターしてお伝えすることができれば、日々不安や痛みに苦しんでいる人々の助けになる。
そして危なげだった私が呼吸法で落ち着ければ、他のスタッフの安心にも繋がる。
呼吸法で「安心を提供する」。これからの目標が明確になった。