お名前:井山 京さん
呼吸法を学ぶきっかけは、いろいろな状況下においても自ら心身のコントロールが可能になり、その結果バランスのとれた生活を実現できたら素晴らしいと思ったからです。
先日、以前より体調が優れず呼吸が苦しそうだった主人が緊急入院しました。病名は心不全。
左心房が細動のため血液を心室に送ることが出来ず、心臓や肺に水が溜まり始め、集中治療室で体から水分を除去し、150もあった心拍数を減らす処置をしました。
4日ほど経った頃、主人の体と繋がっている装置の不安定な数字を見ながら、主人にも呼吸法を使ってみたいと思い、数える呼吸を一緒にしました。
画面を恐る恐る見比べ、数値が上がったらどうしようと不安に駆られながら試しました。
主人はかつて座禅を経験し、呼吸が心身に及ぼす影響は承知しています。
すぐに私の指示に応じてくれ、ベッドの上に座禅座りをして目を閉じ数える呼吸を始めました。
数秒間隔で表示される心拍数の数値を傍らで言ってあげました。
平常範囲の70台から異常の110台まで数字が目まぐるしく変わります。
主人のやっている様子を見ている時、どうも吐き切るときに力を入れているのではないかと感じ、力を抜くようアドバイスすると数値が下がりました。
しばらくやった後、主人の感想を聞いてみました。心が平穏になったと言いました。
一緒にやっていた私も、次第に気持ちが落ち着いてくるのを感じました。
主人は自分の病への不安な気持ちがあったと思いますが、それを少しでも和らげばと願っていたので、それを聞いて嬉しく思いました。
翌日病室に行くと、ベッドの上で静かに呼吸法をしている主人を目撃しました。
早く回復したいと願う行為だと感じました。
私は、頑張れ!と心の中で応援すると共に、呼吸法を実践することにより、主人の病気への心配が軽減され、同時に今快方に向かっている結果に心からの感謝の気持ちで一杯です。